靴の戯れ言

こうべくつ家で作られる革靴やイベント、靴教室について

靴作家の道具|カッターナイフ

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 「包丁は革以外のものと接触をさせない」。というのが私のこだわりです。例えばビニ板(机に置く分厚いビニールシート)の上で革を切る場合と、そうでない場合とでは、包丁の刃の寿命が随分変わります。ビニ板に接触した刃の寿命は短く、そうでない時よりも研がなければいけない頻度が多くなります。ならば、平らな革をビニ板の上で切るときは、どうすれば良いのかというと、私はカッターナイフを使います。2ミリほどのアッパーに使う革を切る時も、5ミリほどある分厚い革を切るときも、刃の設置面に革以外が当たるときの出番は、カッターナイフとなります。

 

 使用している本体は「オルファ・Ltd-8AL」。替え刃は「貝印・職専LV-20」です。今まで様々なカッター本体と替え刃を試してきましたが、現時点で革を切るのに最適な組み合わせがこれになります。特にタンニンを多く含んだ革はこの組み合わせでよく切れます。本体は適度に重量感があり、手にほどよく馴染みますし、替え刃はよく切れ、寿命も長いです。包丁だと切れなくなると研がなくてはいけなくなり、手間は増えますが、これなら刃先を折ればすぐに使えます。

 

 ただ純正のままで本体を使用すると、作業に支障をきたします。何故なら、「貝印・職専」の刃がオルファの替え刃より薄いため、切る時にグラグラと刃が動いてしまい使いにくいからです。ですので、この組み合わせで使用する時は、ソフトハンマーなどで、カッター本体の刃の出口を叩いて、「職専・替え刃」の厚みにしてあげる必要があります。そうすれば安定感のある使用感を得られます。

 

 このような様々な試行錯誤は、全て「いかに効率よく、美しく靴を仕上げることができるか」というゴールに直結していきます。

 

 

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