キャメルのワイドパンツをロールアップした足元に、黒いチェルシーブーツ。
パンツの裾とブーツの履き口とのあいだには、赤い靴下と素肌がわずかに顔をのぞかせている。
ふっと浮かんだイメージを、今まで創ってきた靴と重ね合わせてみて、存在しないことを知った。
クラッシカルであり。
シンプルでリラクシーなブーツ。
コーディネイトにさらりと溶けつつも、それでいてさりげなく存在感のある。
リペアをしながら自分の足のように機能してくれて、素朴なエイジングを見せてくれるチェルシーブーツ。
まるで長きにわたる相棒のような。
そんな素敵なブーツを創ってみたいと思った。
そして想像を実際の線にするために、もう少し的を絞っていく。
年齢も性別も関係なく履けること。
スタイルやシュチュエーションをできるだけ選ばないこと。
通排気性に富み、靴中が蒸れず快適なこと。
リペアを繰り返しながら、長く履くことができること。
これらを孕みながら、コストパフォーマンスをいかに発揮できるかを念頭にいれつつ…。
と。
ここまで考えて、これは創作の仕事ではなく、デザインの仕事だということに気づき。
ものごとを一度、俯瞰で見てみることにして、今回のリリースに至った。
本作はブランド既存の「 Brooklyn 」というシューズをもとに仕様変更し、プロダクトし直したものだ。
名前の頭にはスペシャル・エディションの意味を込めSEとつけた。
つま先の芯(先芯)を排除した柔らかなライン。
シングルソールの華奢なボトムが、おもに元祖と異なったところだ。
また。
ソールを手作業で縫うハンドソーン・ウェルテッド製法(以下、ハンドソーン)ではなく、マッケイ製法にすることで、素材を概ね変更することなく、通排気製や足馴染みはそのままに、コストダウンにも成功した(もちろん、日々めちゃくちゃ歩く方はハンドソーン仕様をお勧めする)。
ハンドソーン仕様の「 Brooklyn 」は現在110,000円。
本品は77,000円だ(ともに税込)。
素材が同じで価格が安くなるということは、手間隙を省いたということに間違いはない。
前述の通り、毎日めちゃくちゃ歩くという方や、金額は特に気にしないという方は、同じディティールでハンドソーン仕様のものも作れるので、そちらをお勧めする。
しかしながら、使うのはほぼ週末のみで、そんなに歩かないのであれば、本品で十分長く履いていただけると思うし、既に1足持っていて、本品を差し色的に使う予定の方にもお勧めだ。
私たちのアトリエのコンセプトは「 何年も、何十年も 」
素材の選定に妥協せず、絶対に譲れない箇所は残しつつコストダウンしたSEを。
楽しんでいただければ幸いです。
SE Brooklyn のオンラインストア
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